広島
​二紀

＜作家のコメント＞

連作の題名のAdalheidisというのは英語の女性の名前「アリス」の元の形で、英語やドイツ語の祖先の古高ドイツ語で「高貴さ」という意味があるそうです。幻想的な世界を探検していく「不思議の国のアリス」の主人公の名前がそんな言葉から来ていたことを知って面白く思い、この世界を超えた何か大切な物を探し続けていくことを表すために使うことにしました。wandalonは「漂う」とか「放浪する」という動詞です。

 

この作品の中の階段は、ウィーンにあるフンデルトヴァッサー美術館の階段をもとにしています。それは歪んでいて、貼られているタイルは不揃いで、上り下りする度に不思議な感覚を味わいました。私にとって道や階段は、魅力的で大切なモチーフです。それらを描くことで、私の心は絵画の中で、時間や場所に縛られることなく自由に移動でき、絵画空間を豊かなものにしてくれます。そのような異世界を巡る女性像を通じて、別の次元の何かを探していきたいと思います。